「ガソリン代を経費にすることができるのか?」「ガソリン代の勘定科目は何がベストなのか?」と困っている個人事業主の方や経理の方は多いのではないでしょうか。
ガソリン代は事業をする上で必ずと言っていいほど発生する費用なので、処理がわからないと困りますよね。
この記事では、ガソリン代に関する以下の内容を紹介しています。
- ガソリン代の勘定科目
- 個人事業主が経費にできるガソリン代
- 経費にする場合の注意点
- 決算時に勘定科目「貯蔵品」に振替えるべきか!?
この記事を読めば、個人事業主のガソリン代の経理で迷うことはありません。ぜひ最後までご覧ください。
ガソリン代の勘定科目とは
ガソリン代を経費にする場合に使用する勘定科目を5つ紹介していきます。
車両費
勘定科目「車両費」は、車の維持管理にかかった費用を集計する場合におすすめの勘定科目です。
「車両費」を使用する場合には、ガソリン代の他に以下の経費を「車両費」計上することが多くあります。
車検代・駐車場代の詳しい内容については以下の記事をご確認ください。
旅費交通費
勘定科目「旅費交通費」は、業務をするのにかかった旅費や交通費を集計する場合におすすめの勘定科目です。
「旅費交通費」を使用する場合には、ガソリン代の他に以下の経費を「旅費交通費」に計上することがあります。
燃料費
勘定科目「燃料費」は、ガソリン車だけでなく、ディーゼル車を所有している場合におすすめの勘定科目です。
自動車の燃料はレギュラー・ハイオク・軽油の3種類に分類することができ、レギュラー・ハイオクの場合と軽油の場合で消費税の処理が異なります。
レギュラー・ハイオクの場合と軽油の場合の消費税の処理をそれぞれ確認していきましょう。
レギュラー・ハイオクの取り扱い
レギュラー・ハイオクの代金の内訳は以下のようになっているので紹介します。
レギュラー・ハイオクの場合には、軽油の場合の内訳の「軽油引取税」とは異なる、「ガソリン税」が発生しています。
ガソリン税は消費税の課税対象となるため、レギュラー・ハイオクの代金の全額を「課税仕入」として計上することができます。
軽油の取り扱い
軽油の代金の内訳は以下のようになっているので紹介します。
軽油の場合には、レギュラー・ハイオクの場合の「ガソリン税」とは異なる、「軽油引取税」が発生しています。
軽油引取税は消費税の課税対象とならないので、軽油の代金を課税対象部分の「本体価格+石油税+消費税」と課税対象外部分の「軽油引取税」に分ける必要があります。
課税対象部分の「本体価格+石油税+消費税」を勘定科目「車両費」を使用して課税仕入として計上し、課税対象外部分の「軽油引取税」を勘定科目「租税公課」を使用して不課税仕入として処理しましょう。
消耗品費
車の使用頻度が少なく、ガソリン代がほとんどかからない場合には、勘定科目「消耗品費」を使用するのも選択肢の1つです。
「消耗品費」には、事務用品や文房具、使用可能期間が1年未満のもの、取得価額が10万円未満のものが計上されます。
「消耗品費」の代わりに勘定科目「雑費」を使用することもできます。
仕入
タクシー会社や運送会社などの場合には、ガソリン代が商品販売やサービス提供に必要不可欠であるので、勘定科目「仕入」を使用することがあります。
個人事業主が経費にできるガソリン代とは
個人事業主が経費にできるガソリン代は、事業で必要であるガソリン代のことを指します。
以下で経費にできるガソリン代と経費にできないガソリン代をそれぞれ紹介していきます。
経費にできるガソリン代
個人事業主が経費にできるガソリン代には以下のものがあるので紹介していきます。
経費にできないガソリン代
個人事業主が経費にできないガソリン代には以下のものがあるので紹介していきます。
個人事業主がガソリン代を経費にする場合に気をつけるべきこと
個人事業主がガソリン代を経費にする場合には、プライベートで使用したガソリン代を除いて経費に計上する必要があります。
経費を適切に計上するために、自家用車と事業専用車両を所有している場合と自家用車のみ所有している場合を注意点も含めて紹介していきます。
自家用車と事業専用車両を所有している場合
自家用車と事業専用車両を所有し、適切に事業とプライベートで車を使い分けているときは家事按分をする必要がありません。
事業専用車両で使用したガソリン代のみを経費に計上するようにしましょう。
自家用車のみ所有している場合
自家用車と事業専用車に分けていない場合には、ガソリン代をプライベート部分と事業に関係する部分に分けるために家事按分する必要があります。
ガソリン代を家事按分をする場合には、主に走行距離を利用する方法と使用日数を利用する方法の2つがあります。
走行距離を利用する方法
走行距離を利用して家事按分をする方法は、車の使用頻度が月や週で一定でない場合や、正確に計算をしたい場合に適しています。
メーター距離を基準にして割合を算出するため煩雑になってしまう傾向にあります。
年間1,000キロメートル分のメーターが進んでいる場合に、事業で使用した分が500キロメートル分であるときは、事業に使用した割合は50%となります。
年間のガソリン代が100,000円の場合には、100,000円×50%の50,000円が経費となります。
車の使用日数を利用する方法
車の使用日数を利用して家事按分をする方法が適しているのは、車の使用頻度が月や週で一定である場合です。
車の使用日数を利用して家事按分をする方法は、走行距離を利用する方法よりも簡単に計算することができます。
毎月事業で使用する車の日数が15日間である場合には、15日/30日で50%の割合をガソリン代の合計額に乗じることによって経費部分のガソリン代を算出します。
年間のガソリン代が100,000円の場合には、100,000円×50%の50,000円が経費となります。
ガソリン代のレシートや領収書がない場合
ガソリン代のレシートや領収書がない場合にも、支払いの事実があればガソリン代を経費にすることができます。
レシートや領収書がない場合には、帳簿をつけることに加えて、金額・利用日・日付などを記録しておきましょう。
その他の方法として、クレジットカード明細が証拠書類となりうるので、領収書がない場合にはクレジットカード明細を確認してみましょう。
クレジットカードを持っていない個人事業主・法人の方は、ガソリン代用のクレジットカードを取得するのも良いかも知れませんね。
個人事業主は勘定科目を増やす
青色申告の適用を受けている個人事業主の方は、確定申告で青色申告決算書を作成する必要があります。
青色申告決算書には、経費に関して18個の勘定科目が既に設定されており、6個を追加することが出来るようになっています。
ガソリン代の勘定科目として、「車両費」や「燃料費」を使用する場合には、追加することができる6個のうちの1つを使用する必要があります。
勘定科目はむやみに増やしすぎないように計画的に作成・使用していきましょう。
勘定科目は変更しないこと
会計の世界では一度決めた勘定科目は変更しないことが、継続性の原則より重要視されています。
ガソリン代を勘定科目「車両費」と決めたのであれば、事業が継続していく限りガソリン代は「車両費」を使用していきましょう。
もし、どうしてもガソリン代の勘定科目を変更したいということであれば、期首から勘定科目を他の適切な勘定科目に変更して継続的に使用していくようにしましょう。
決算時に勘定科目「貯蔵品」を使うべきか?
結論から申し上げると、基本的には決算時に勘定科目「貯蔵品」を使用して、費用計上したガソリン代を資産に振り替える処理をする必要はありません。
決算時に費用計上したガソリン代を勘定科目「貯蔵品」に振り替えることは誤りではありませんが、実務上煩雑になるので、多くの会社では振替処理を行っていません。
勘定科目「貯蔵品」へ振替処理を行わないで良い根拠として、国税庁ホームページに記載されている以下の条文を紹介しておきます。
消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_02_02.htm
個人事業主のためのガソリン代の勘定科目 まとめ
ガソリン代を経費にする場合に使用する勘定科目5つ紹介しましたが、どの勘定科目がおすすめかは事業形態によって異なりますので、事業形態に合った勘定科目を選択しましょう。
- 車両費
- 旅費交通費
- 消耗品費
- 燃料費
- 仕入
個人事業主は、経費にすることができるガソリン代と経費にすることができなガソリン代を家事按分によって適切に分けるようにしましょう。
家事按分をする場合には、走行距離を利用する方法と使用日数を利用する方法があるので、車の使用状況に応じて選択しましょう。
不明点がある場合には、税理士に相談をしてみましょう。最近では、月額報酬10,000円~で決算報酬が無料の税理士紹介サイトもあります。
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