税理士報酬の勘定科目で預り金!?源泉徴収がある場合の注意点

経理事務
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税理士などに報酬を支払った場合には、勘定科目「預り金」を使用することがあるのは知っていましたか。

どのようなときに「預り金」を使用するかわかりにくいですよね。

実は、きちんと預かった税金を納付しなければ、ペナルティを課されてしまいます。

この記事では、税理士報酬などの専門家に支払う報酬などに関する内容についての紹介をしています。ぜひ最後までご覧ください。

税理士報酬の勘定科目とは

税理士報酬の仕訳を計上する場合において、一般的に使用する勘定科目は以下の5つがあるので紹介します。

税理士報酬の勘定科目
  • 支払手数料
  • 支払報酬料
  • 支払顧問料
  • 業務委託費
  • 外注費(業務委託費)

支払手数料

勘定科目「支払手数料」は、税理士報酬以外にも、社労士報酬・司法書士報酬・弁護士報酬などの報酬の仕訳でも使用されます。

「支払手数料」は、報酬以外にも振込手数料などにも使用されるので、報酬を「支払手数料」で処理する場合には、補助科目を作成するなどして区分しておきましょう。

支払報酬料

勘定科目「支払報酬料」は、税理士、社労士、弁護士、コンサルタントなどに対して報酬や顧問料を支払った場合に使用する勘定科目です。

支払顧問料

勘定科目「支払顧問料」は、勘定科目「支払報酬料」と基本的に同じです。

外注費(業務委託費)

勘定科目「外注費」や「業務委託費」は、業務を税理士などの専門家などに依頼したり、外部の法人や個人と業務委託契約を締結した場合に使用する勘定科目です。

税理士報酬の源泉徴収が不要なケース

報酬を受け取る側が法人である場合(=税理士法人に依頼をした場合)には、源泉徴収をする必要はありません。

税理士法人の場合に源泉徴収を行う必要がないのは、所得税ではなく、法人税を支払うためです。

以下のいずれかに当てはまる場合には、税理士報酬の支払で源泉徴収が不要となります。

税理士報酬の源泉徴収が不要なケース
  • 税理士法人に支払う場合
  • 人を雇っていない個人事業主が支払う場合
  • 常時2人以下の家事使用人のみに給与を払っている個人事業主が支払う場合

源泉徴収額の計算方法

源泉徴収額の計算方法は、支払金額が100万円以下か100万円超かどうかで異なるので、それぞれ紹介していきます。

支払金額が100万円以下の場合

支払金額が100万円以下の場合には、「支払金額×10.21%」によって源泉徴収額を計算します。

(注)計算した金額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

50万円の税理士報酬を支払う場合には、50万円×10.21%=51,050円となります。

支払金額が100万円超の場合

支払金額が100万円超の場合には、「(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円」によって源泉徴収額を計算します。

(注)計算した金額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます。

150万円の税理士報酬を支払う場合には、(150万円-100万円)×20.42%+102,100円=204,200円となります。

源泉徴収額の計算の基となる支払金額とは

原則的に、税理士報酬に消費税が含まれているときは、消費税を含めた金額で源泉徴収額を計算します。

→税込金額×10.21%で計算(100万円以下の場合)

しかし、請求書等において、報酬と消費税が明確に区分されている場合や、消費税が記載されている場合には、消費税を控除した金額で源泉徴収額を計算しても問題ありません。

→税抜金額×10.21%で計算(100万円以下の場合)

最終的に、税込金額・税抜金額のどちらを使用して源泉徴収額を計算しても納付する金額は変わりません。入金時の報酬の手取り額を多くしたい場合には、請求書等において消費税を記載し、税抜金額で源泉徴収額を計算するようにしましょう。

税理士報酬に源泉徴収が必要でない場合の勘定科目

借方科目借方金額貸方科目貸方金額借方消費税
(支払手数料)100,000(普通預金)100,000課税仕入
税理士報酬10万円を普通預金から支払った場合の仕訳 (源泉徴収なし)

税理士報酬に源泉徴収が必要でない場合の勘定科目は、上記のように「支払手数料」を使用します。

勘定科目「支払手数料」の部分に関しては、「支払報酬料」「支払顧問料」「業務委託費」「外注費」などでも問題ありません。

税理士報酬に源泉徴収が必要である場合の勘定科目

借方科目借方金額貸方科目貸方金額借方消費税
(支払手数料)100,000(普通預金)89,790課税仕入
(預り金)10,210
税理士報酬10万円を普通預金から支払った場合の仕訳 (源泉徴収あり)

税理士報酬に源泉徴収が必要である場合の勘定科目は、上記のように「支払手数料」と「預り金」を使用します。

勘定科目「預り金」には、源泉徴収金額が入ります。

勘定科目「支払手数料」の部分に関しては、「支払報酬料」「支払顧問料」「業務委託費」「外注費」などでも問題ありません。

税理士報酬で源泉徴収した金額の納付方法

税理士報酬で源泉徴収があった場合には、源泉徴収により預かった金額を納付する必要があります。

納付方法としては、「原則」と「特例」の2種類の納付方法があるので、それぞれ紹介していきます。

原則

原則の納付方法では、源泉徴収した金額を源泉徴収した月の翌月10日までに税務署に納付する必要があります。

特例

源泉所得税の納期の特例の承認によって、特例の納付方法が承認された場合には、7月10日と翌年1月20日の年2回にまとめて税務署に納付することができます。

源泉所得税の納期の特例の承認を受けるには、給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者などの条件があるので以下の国税庁HPをご覧ください。

A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁

支払調書

源泉徴収を行ったときには、報酬、料金、契約金及び賞金を支払った者が翌年1月末までに税務署に支払調書を提出しなければなりません。

個人事業主が確定申告を適切にしているかを税務署が確認するために支払調書の提出が必要となります。

一般的に「支払調書」と呼ばれていますが、正確には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と言います。

税理士報酬の勘定科目 まとめ

税理士報酬の仕訳を計上する場合において、一般的に使用する勘定科目は以下の5つがあるので紹介します。

税理士報酬の勘定科目
  • 支払手数料
  • 支払報酬料
  • 支払顧問料
  • 業務委託費
  • 外注費(業務委託費)

以下のいずれかに当てはまる場合には、税理士報酬の支払で源泉徴収が不要となりますが、源泉徴収が必要な場合には、勘定科目「預り金」で源泉徴収額を処理しなければなりません。

税理士報酬の源泉徴収が不要なケース
  • 税理士法人に支払う場合
  • 人を雇っていない個人事業主が支払う場合
  • 常時2人以下の家事使用人のみに給与を払っている個人事業主が支払う場合

支払金額が100万円以下の場合には「支払金額×10.21%」で、支払金額が100万円超の場合には「(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円」によって源泉徴収額を計算します。

資金繰りの面から、請求書等において消費税を記載し、上記の算式の支払金額は税抜金額で計算することをおすすめします。

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